小型合併処理浄化槽の使い方

浄化槽管理
◆はじめに◆
浄化槽には様々な生活排水が流入します。そして浄化槽の処理水質は、この流入する汚水の状況・状態によって大きな影響を受けます。今回は、浄化槽使用者の方に、浄化槽を正しく使用していただくための材料の1つとして、トイレットペーパーの種類の違いが浄化槽に及ぼす影響についてまとめました。
◆トイレットペーパーについて◆
(1)種類
トイレットペーパーは大きく分けてシングルとダブルの2種類があります。シングルは1重、ダブルは2重構造になっています。ダブル1ロールあたりの長さはシングルの半分程度です。
(2)水に溶ける性質
トイレットペーパーが「 水に溶ける 」と思われている方が大勢いらっしゃいますが、実は本当に溶けている訳ではありません。トイレットペーパーは木の繊維が絡み合ってできており、水の中で攪拌されることにより、繊維がほどけてバラバラになります。これが、トイレットペーパーが水に「溶ける」、トイレを詰まらせずに流すことができる仕組みです。
(3)微生物による分解性
トイレットペーパーの主成分であるセルロースは、微生物による分解がしにくい物質です。BOD値としては低いですが、処理がされないため、汚泥として浄化槽の中に蓄積されます。
◆トイレットペーパーの沈降性の実験◆
(1)実験方法
トイレットペーパーの沈降性の違いを調べる簡単な実験を行いました。500mlのペットボトルにほぼ同じ重量のシングルとダブルのトイレットペーパーを入れて十分に攪拌し、沈降性の経時変化を確認しました。比較のために、本来トイレに流してはいけないティッシュペーパーや、トイレに流せると記載されている便座シートについても同条件で沈降性を確認しました。
結果は次のページにまとめましたのでご覧ください。
(2)考察
トイレットペーパーの種類の違いを比較してみると、シングルはダブルに比べて、明らかに沈降性が良いことが確認されました。汚泥やスカムの発生量の多さでお困りの場合、お施主様にお願いして、トイレットペーパーをシングルに代えていただくと、汚泥量の削減が期待できます。さらに、沈降性が良いことから二次処理への負荷軽減にも繋がります。また、比較実験しましたティッシュペーパーや便座シートなどは水に溶けにくく、流入口をふさいだり、エアリフトや、ろ材閉塞を引き起こす可能性があります。ティッシュは流さないことと、便座シートの使用も出来る限り控えて頂くようにお願いすると、トラブル予防に繋がります。
◆トイレットペーパー沈降性の実験◆
結果  
@シングル: 攪拌後、細かく溶け、その後すぐに沈降し始めた。
Aダブル: 攪拌後、細かく溶けたが、なかなか沈降せず、1日経ってようやく沈降。
B便座シート: 攪拌後もほとんど溶けず形状を維持。1日経ってようやく若干ふやけた。
Cティッシュ: 便座シート以上に形状を維持し続け、全く溶けずに浮遊していた。

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